病気・治療の解説

はしか(麻疹ウイルス感染症)

成人の方達の麻疹ワクチン接種希望が急増しています。

2018年5月現在の、はしかの流行やそれに関するマスコミの報道を受け、成人の方達の麻疹ワクチン接種希望が急増しています。当院にも多数のお問い合わせをいただいておりますが、現在のところ日本中で麻疹ワクチンは不足しており、ほぼ入手不可能となっています。

当院では、麻疹風疹混合(MR)ワクチンを行っております(自費になります)が、やはり入手困難となっております。もしご希望される方がいらっしゃいましたら、お問い合わせください。

 

抗体検査について

尚、ワクチン接種を行う前に、抗体検査を実施することが可能です(自費になります)。検査を行うことにより、予防接種を接種したかどうか、あるいは実際にはしかにかかったかどうか、に関係なく、現在免疫がついているかどうか、結果として予防接種を行う必要があるかどうか、判断することができます。ワクチンを接種したかどうかご不明の方など、お問い合わせいただくか、あるいは直接ご来院いただいても結構です。すぐに採血によって検査可能です(結果が出るのには約1週間かかります)。

はしか(麻疹:measles)とは?

麻疹ウイルスによる感染症です。

感染様式

空気感染(飛沫核感染)、飛沫感染、接触感染で感染します。特に空気感染するので、感染しやすく、またはしかを発症する(熱などの症状が出てくる)前から感染力があるため、極めて伝播力が強く流行する危険の強い感染症です。

  • 飛沫核感染~空気感染とは?

    患者さんや、保菌している人が咳、くしゃみや、会話、大笑いをした場合などに、肺・気道や口の粘膜に存在する病原体が、唾液や痰とともに飛び散ります。この唾液や痰の粒は非常に細かいため、しばらく空気中に浮遊して感染源となります。これを空気感染といい、直接患者さんと接触しなくても感染する可能性があるため、もっとも強力な感染形式です。

  • 飛沫感染とは?

    飛沫核感染のような状況において、唾液や痰とともに飛び散る比較的大きな粒子は、周囲の人の皮膚や粘膜に直接吹き付けられてくっつくことにより、感染の原因となります。これは飛沫感染といい、飛沫核感染(空気感染)とは異なった接触感染の一つとして、別にとり扱われます。

潜伏期間(ウイルスが感染してから発症するまでの期間)

10~12日で、感染するとほとんどが発症し症状が認められます(=不顕性感染は少ない)。

はしかの症状

はしかは、予防接種後、生まれて間もない、母親からの抗体(免疫力)をもった乳児、などの場合には、発症しても軽症ですむ場合があります(修飾麻疹といいます)。

 

通常の場合には、まず発熱、鼻水、咽頭痛、咳、眼の充血、などが数日続きます(カタル期)。その後、熱はいったん下がったようにみえますが、再び上昇して39℃以上の高熱となり(=二峰性の発熱)、顔面、頸周りから鮮やかな赤色の紅斑ができて、全身に広がります(=皮疹期)。高熱は数日間続き、ぐったりとして食事や水分摂取が不十分となり、下痢も伴うため、脱水症になる危険があります。

 

カタル期の後半に、口の中の頬の内側などに認められる、周りが赤く囲まれた白い斑点が特徴的で(Koplik斑とよびます)、これは発疹が全身に広がる頃には消失します。また、発疹は融合(小さい斑点が重なっていく)して、ときに落屑(皮膚がぼろぼろになる)のようになり、色素沈着(茶色い色の変化)を残した後に、きれいに消失します。

はしかの検査

抗体検査を行い、IgG抗体が高値であれば、予防接種後またはすでに以前に感染したあとの状態である可能性が高いです。

実際にはしかにかかってしまった場合には、IgM抗体(感染した4日後~28日後に認められる)とIgG抗体を測定し、必要時には特殊な検査でウイルスを分離したり、ウイルスの遺伝子を証明(PCR検査)したりすることもあります。

はしかの合併症・予後

合併症がなければ、7~10日間ほどで軽快します。

しかし、肺炎を合併することが多く、その原因としてはウイルスによる肺炎、細菌による二次的な肺炎、および巨細胞性肺炎(麻疹肺炎)などが挙げられます。

また、頻度は1000人に約1人と稀ですが、脳炎を発症した場合には、致命率が約15%と予後不良であり、回復した場合にも約20~40%に重度の後遺症を残します。約10万人に1人程度ときわめて稀ですが、治癒から数年~10年経ってから亜急性硬化性全能炎(SSPE)を発症することがあり、予後はきわめて不良です。

はしかの治療

ウイルスを除去する、排除する、といった特異的な治療法はなく、症状にあわせた対症療法が中心となり、入院が必要となることが多いです。

はしかの予防

1978年から生後12~72か月未満児に対する麻疹ワクチンの定期接種が始まりました。

1995年4月から生後12~90か月未満児に対する麻疹ワクチンの定期接種が始まり、2006年6月に1歳児および小学校入学前1年間の時に対する麻疹風疹混合(MR)ワクチンの2回接種制度が開始され、現在に至ります。尚、2008年~2012年度の5年間は、中学1年生と高校3年生に該当する年齢の人たちに対して2回目のMRワクチン接種が実施されました。

現在は、1歳児のワクチン接種率は95%以上と高くなっています。

はしかの歴史

1990年代までは、ワクチン未接種の乳幼児と、10~20代の若者に多く発症していました。2007年に、ワクチン未接種や1回のみ接種、接種したか不明、であった10~20代の若者と、ワクチン未接種の0~1歳児を中心とする大規模な流行がありました。

 

そのため2007年12月に「麻しんに関する特定感染症予防指針」が告示され、2008年から診断後ただちに(24時間以内)届け出ることが義務付けられ、2015年3月にWHO西太平洋地域事務局から日本の麻疹排除が認定されました。

しかしその後も、主にウイルスが海外から持ち込まれることで、麻疹の流行がみられることがあります(例;2016年関西空港、2018年5月現在の麻疹の流行など)。

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