メタボリックシンドローム
太っていたらメタボ?~メタボの診断基準~
メタボリックシンドロームは、2005年に日本内科学会などが作成した診断基準があります。
内臓脂肪の蓄積があり、かつ血圧、空腹時血糖、血清脂質のうち2項目以上が基準値から外れている状態を言います。
診断基準には、必須項目と選択項目があります。
必須項目は、
① 内臓脂肪の蓄積が認められること
② ウェスト周囲径が、男性85cm以上、女性90cm以上であることです。
選択項目は、
① 高トリグリセライド血症(150mg/dL以上)であり、かつ、または、低HDLコレステロール血症(40mg/dL未満)であること。
② 空腹時血糖が110mg dL以上であること。
③ 収縮期血圧(最高血圧)が150mmHg以上であり、かつ、または、拡張期血圧(最低血圧)が85mmHg以上であること。
以上の①から③のうち2項目以上該当すること、とされています。
診断基準からもお分かりのように、「太っている・太っていない」は、メタボリック症候群とは関係がありません。
メタボの危険性
メタボリックシンドロームに該当する人は、内臓脂肪型肥満、脂肪肝、2型糖尿病、狭心症、心筋梗塞、脳血管疾患、動脈硬化、睡眠時無呼吸症候群となるリスクが非常に高まります。
肥満・脂質異常・高血糖・高血圧など、動脈硬化のリスクが重なると、1つも該当しない人に比べて心臓病の発症リスクは、因子が1つで5.1倍、2つで5.8倍、3つ以上では35.8倍に増加するという調査報告があります。
中でも、動脈硬化は自覚症状がなく、ある日突然発症して生命を落としてしまうこともあります。
自覚症状が出る前にご相談いただくことが非常に大切です。
メタボの治療
薬物療法
薬物により血糖、血圧、中性脂肪、コレステロールのコントロールが必要と医師が判断した場合には、薬物療法を行う場合があります。
しかし、薬物治療は基本的に対症療法ですので、これだけでは根本的なメタボの改善にはつながりません。
以下に記載する食事療法・運動療法・禁煙に取り組むことが大切です。
食事療法
一つ目が、食事療法です。
食事療法と聞くと、厳しい食事制限をイメージされる方も多いと思いますが、そうではありません。
大切なことは、1日の摂取カロリーと栄養バランスを考えた食事です。
例を挙げると、
●食塩は10/日g以下に控える(高トリグリセリライド(中性脂肪)血症の場合は6g/日以下)
●食物繊維を多くとる
●甘いジュースやお菓子の過摂取に注意する
●良く噛んで食べ、腹八分目を意識する
●緑黄色野菜を積極的に食べる
●間食や夜食はしない
●節度を保った飲酒
●毎日決まった時間に食事する
●飲酒は、節度を保つ
などから取り入れていきましょう。
運動療法
もう一つは、運動療法です。
大切なのは、無理のない範囲での有酸素運動を心がけることです。
運動強度の過度なもの、息をこらえながらするようなトレーニングは、かえって心臓に負担をかけたり血圧上昇の原因となるので、控えた方がよいでしょう。
これまで定期的な運動を行っていない方は、軽い30分程度のウォーキング(散歩)から始めたり、エレベーター・エスカレーターではなく階段を使うなど、日常生活の中で運動を取り入れてみましょう。
禁煙
最後に、喫煙されている方は、これを機に禁煙に取り組みましょう。
喫煙は、動脈硬化を促進させる要因となり、また、喫煙しない人に比べ、メタボリック症候群になりやすい報告もあります。
具体的には、
●内臓脂肪を増やすホルモンが増加する
●インスリンへの抵抗性が高まる
●中性脂肪の増加やHDLコレステロールの低下を誘発する
●ストレスホルモンの増加で血糖値が上昇する
などです。