予防接種で予防できる感染症

予防接種で予防できる感染症

私たちのまわりには、病気を引き起こすウイルスや細菌 (病原体)がいます。

ワクチンの接種(予防接種)を受けると、私たちの体に抵抗力(免疫)がつきます。

そして、病原体が感染して起こる病気(=感染症)を予防することができます。

ワクチンで防げる病気は一部ですが、どれもかかると重大なものです。だからこそ予防が大切です。

 

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ヒブ・PCV13

ヒブ・PCV13は、細菌性髄膜炎を予防します。

細菌性髄膜炎とは?

早期発見が難しく重症化しやすい

ヘモフィルス・インフルエンザ菌b型(ヒブと略します)や肺炎球菌などの細菌が、血液から脳を包んでいる髄膜に入り込み、炎症を起こす病気です。1歳未満で多く発症します。進行すると意識障害、けいれんなどが見られますが、初期は発熱だけのことも多いため早期発見が難しい病気です。死亡したり、重い後遺症が残ったりすることがあります。

さまざまな原因菌のうち、ヒブと肺炎球菌による細菌性髄膜炎が多いため、ワクチンが作られました。

 

病原体:ヘモフィルス・インフルエンザ菌b型(ヒブ)、肺炎球菌

感染経路:飛沫感染(細菌は健康な人の鼻やのどの常在)

ヒブ・PVC13について

ヒブ:定期接種不活化ワクチン

PCV13:定期接種不活化ワクチン

接種開始年齢:生後2〜7ヶ月未満

 

生後2ヵ月~5歳未満が接種対象です。生後6カ月~1歳での発症が多いため、生後6ヵ月までに3回の接種を完了できるように、生後2ヵ月を迎えたら、ワクチンデビューをしましょう。ただし、開始する年齢が生後7ヵ月を超えると、接種回数が異なるので注意しましょう。

四種混合(DPT-IPV)・二種混合(DT)

四種混合(DPT-IPV)・二種混合(DT)は、ジフテリア、百日せき、破傷風、ポリオを予防します。

ジフテリアとは?

かかると死亡することも。国内では患者ゼロ

のどや鼻、目の結膜など粘膜に起こる病気です。菌が出す毒素によって、心筋炎が起こると突然死の危険があります。のどが腫れて息ができなくなり、窒息死することもあります。国内では戦後、年間8万人以上の患者(死者6,000人)がいましたが、1999年を最後に報告はありません。90年代にワクチン接種率が低下したロシアで流行しました。日本でも油断は禁物です。

 

病原体:ジフテリア菌

感染経路:飛沫感染

潜伏期間:2〜5日

百日せきとは?

生後3ヵ月未満でかかると危険

軽いかぜ症状から始まり、特徴的な激しいせき発作が続き、回復には2~3ヵ月かかります。肺炎や脳症を起こし、後遺症が残ることもあります。生後3ヵ月未満にかかると、無呼吸など重症化しやすく、ときに死亡することもあります。近年は大人での感染が増加し、乳児への感染源として注意が必要です。

 

病原体:百日せき菌

感染経路:飛沫、接触感染

潜伏期間:7〜10日

破傷風とは?

傷口から感染、高い致命率

土壌中の菌が、傷口から感染して起こる病気です。菌が出す毒素によって、顔面の硬直や、全身性のけいれんなどが起こります。致命率が高く、呼吸筋のまひにより窒息死することもあります。ワクチン接種でのみ、十分な免疫ができます。子どものころに予防接種を受けていない40歳以上の人を中心に、年間100名ほどの患者発生があります。

 

病原体:破傷風菌

感染経路:傷口から感染

潜伏期間:3〜21日

ポリオとは?

発症すると手足にまひが残ることも。

ポリオウイルスは口から感染しますが、感染者の95%は無症状です。手足にまひが起こり、重症化すると呼吸できず死に至ることもあります。生ワクチンによって、日本では1981年以降、自然感染はゼロです。ですが、アフリカや南アジア、西アジアでは今も患者が発生しています。2012年から不活化ワクチンが使用されています。

 

病原体:ポリオウイルス

感染経路:糞口感染

潜伏期間:1〜2週間

四種混合(DPT-IPV)について

四種混合(DPT-IPV):定期接種不活化ワクチン

二種混合(DT):定期接種不活化ワクチン

接種開始年齢:生後2ヶ月〜(四種混合)、11歳になったら1回(二種混合)

 

生後2ヶ月〜(四種混合)

4種類の病気に対する免疫を、一度につけることができます。とくに乳児期の百日せきを予防するため、生後2ヵ月を迎えたら早めの接種が大切です。接種回数は計4回で、最後の接種は3回目の接種から約1年後となるため、忘れないよう気をつけましょう。

 

11歳になったら1回(二種混合)

2期として、11歳になったら1回接種します。1期にDPTやDPT-IPVの接種で得たジフテリアと破傷風に対する免疫を、より強固なものにします。1期で4回の接種を済ませていない場合は、かかりつけ医と相談しましょう。

BCG

BCGは、結核を予防します。

結核とは?

1歳未満でかかると重症化しやすい

肺に感染して起こる肺結核が多く、おもに高齢者が発症する病気です。赤ちゃんがかかると、全身に感染が広がり、粟粒(ぞくりゅう)結核や結核性髄膜炎と呼ばれる重い結核になり、死亡したり後遺症が残ったりすることがあります。現在でも大都市圏を中心に毎年2万人以上の患者が新たに発生し、約2,000人以上が死亡する国内最大の感染症です。治療には半年以上かかります。

 

病原体:結核菌

感染経路:空気感染

潜伏期間:感染後1年以内(免疫力の低下で発症することも)

BCGについて

定期接種生ワクチン

接種開始年齢:生後12ヶ月未満、通常生後5〜8ヶ月未満で1回接種(BCG)

 

乳児の重症結核を予防します。対象年齢は、生後12ヵ月未満、通常生後5~8ヵ月未満で1回接種します。自治体によってBCGは、場所や時間が限定される集団接種の場合もありますので確認しましょう。管針によるスタンプ方式で接種します。

MR(麻疹風疹混合)

MR(麻疹風疹混合)は、麻疹(はしか)、風疹と予防します。

麻疹(はしか)とは?

感染力が強く、重症化しやすい。

発熱後、3~4日して全身に赤い発疹が現れ、高熱が続きます。感染力が非常に強く、大人も子どもも重症化しやすい病気です。肺炎や脳炎など重い合併症を起こして死亡したり、後遺症を残したりすることもあります。さらに、感染後1ヵ月間は免疫機能が低下するため、別の感染症(肺炎、中耳炎、気管支炎など)にかかりやすくなります。

 

病原体:麻疹ウイルス

感染経路:空気、飛沫、接触感染

潜伏期間:10〜12日

風疹とは?

近年流行。妊婦がかかると胎児に影響が。

感染者の約15%は無症状。麻疹より症状は軽く、発熱・発疹・リンパ節の腫れが特徴です。気をつけたいのは、妊娠20週頃までの妊婦への感染です。胎児にも感染して、障害のある先天性風疹症候群の赤ちゃんが生まれる可能性があります。近年ではとくに20~40代の男性を中心に流行が見られ、妊婦や赤ちゃんへの感染に注意が必要です。

 

病原体:風疹ウイルス

感染経路:飛沫、接触感染

潜伏期間:2〜3週間

MR(麻疹風疹混合)について

定期接種生ワクチン

接種開始年齢:1歳になったらなるべく早く接種。2回目は小学校就学前の1年間に接種(MR 麻疹風疹混合)

 

1歳になったらなるべく早く接種しましょう。より強い免疫を得られるよう2回の接種が必要です。2回目は、小学校就学前の1年間に接種しましょう。また、近年の風疹流行の中心である成人にも、接種が推奨されています。

日本脳炎ワクチン

日本脳炎とは?

蚊に刺されて感染。発症するとリスク大

ウイルスを持つ蚊を介して人に感染する病気で、人から人への感染はありません。日本を含むアジア地域で広く見られる感染症です。発症は感染者の100~1,000人に1人程度。脳炎を起こすと、致命率は20~40%と高く、回復しても約半数に後遺症が残り、とくに乳幼児では重い障害が残るリスクが高いです。患者数は免疫力の低下した中高年を中心に毎年10人以下ですが、中にはワクチン未接種の子どもも報告されています。ウイルスに感染したブタは西日本を中心に、広い地域で毎年確認されています。

 

病原体:日本脳炎ウイルス

感染経路:ウイルスを持つ蚊に刺されて

潜伏期間:6〜16日

日本脳炎ワクチンについて

定期接種不活化ワクチン

接種開始年齢:3歳からの接種が標準的だが、生後6ヶ月から定期接種が可能。計4回(日本脳炎)

 

3歳からの接種が標準的ですが、生後6ヵ月から定期接種が可能です。接種回数は計4回で、1期として3歳で2回、4歳で追加接種1回が標準とされていて、最後の接種は2期として通常9歳です。

※特例対象者【H7/4/2~H19/4/1生まれの人】は、20歳までに不足分を接種でき、【H19/4/2〜H21/10/1生まれの人】は、9~13歳未満の間に1期の不足分を接種できます。(当面の間)

ヒトパピローマウイルスワクチン

ヒトパピローマウイルスワクチンは、子宮頸がんを予防します。

HPV感染症(子宮頸がん)とは?

予防にはワクチンと定期検診をセットで

HPVは、女性の約80%が一度は感染するありふれたウイルスです。通常自然に排除されますが、まれに感染が持続して子宮頸がんを発症するとされています。HPVにはさまざまな型があり、ワクチンで全ての感染を防ぐことはできないため、がんの予防には定期的な検診も必要です。近年、20~30代で急増しています。

 

病原体:ヒトパピローマウイルス(HPV)

感染経路:接触感染(性交渉)

ヒトパピローマウイルスワクチンについて

定期接種不活化ワクチン

接種開始年齢:小6〜高1(通常中1)女子が接種対象(ヒトパピローマウイルス)

 

小6~高1(通常中1)女子が接種対象です。ワクチンは2価と4価の2種類があり、どちらか一方のワクチンを3回接種します。

水痘ワクチン

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