子どもの発熱

子どもの発熱

子どもは急に熱を出すことが多いものです。

子どもの発熱は、多くの場合は急を要するものではありませんが、親御さんは大変心配かと思います。

発熱の原因となる病気や早めに受診が必要な場合についてご説明いたします。

発熱の主な原因

子どもの発熱の原因の大部分は、感染症に由来するものです。

細菌やウイルスなどの病原体が体内に侵入すると、人間が本来備えている免疫が反応します。

病原体という抗原に対抗して抗体を産生するのですが、そのプロセスで病原体と戦います。

その時に、人間は熱を作り出し、病原体を死滅させます。

 

子どもの頃は、まだ様々な病原体に対する免疫を獲得することが出来ていませんから、感染症にかかる機会も多くあります。

特に、3歳くらいまでは、よく発熱を起こします。

 

では、発熱の原因となる感染症にはどのようなものがあるのかを挙げてみます。

① インフルエンザ

発熱、頭痛、関節痛、咳、鼻水、咽頭痛、下痢、全身の倦怠感などが急激に現れます。

普通の風邪は、比較的穏やかに症状が現れる点で大きな違いがあります。

症状が悪化すると、インフルエンザ脳炎や肺炎を合併し、生命にかかわる状態となることがありますので、注意が必要です。

簡易キットを使った検査で感染を確認出来ます。

抗ウイルス薬を48時間以内に投与することが有効です。

また、もしインフルエンザに感染してしまった際に重症化を予防できるインフルエンザ予防接種も有効です。

インフルエンザは感染力が強いため、もしお子さんが感染した場合は、家庭での感染予防策(飛沫・接触予防策)が、二次感染を防止するうえで大切になります。

 

② 溶連菌感染症

厳密には、A群β溶血連鎖球菌という細菌により発症する感染症です。

発熱のほか、咽頭痛、咽頭に白色の膿のようなものが付着する、舌が苺状に赤色にザラザラになるなどの症状が出ます。

簡易検査で判定することができます。

感染力は強く、飛沫・接触感染予防策が大切になります。

また、溶連菌感染症になった場合、学校は出席停止となりますので、注意が必要です。

 

③ ヘルパンギーナ

ヘルパンギーナは、コクサッキーウイルス、エンテロウイルスにより引き起こされる夏風邪の一種と捉えられています。

夏期に散発的に比較的大きな流行を見ることがあります。

ヘルパンギーナは、発熱のほかに、咽頭が赤くなり水泡が出現します。

特に、咽頭痛のために食事が摂れないケースも見受けられます。

 

④ 突発性発疹

急激に高熱(39℃以上)が3日間ほど続いたあと、解熱すると発疹が全身に出現します。

0~1歳の乳幼児に特に多く、高熱の持続が原因で熱性けいれんを起こす場合がありますので、注意が必要です。

子どもが初めてかかる病気の代表格であり、生まれて初めての発熱が突発性発疹ということも少なくありません。

 

⑤ アデノウイルス感染症

咽頭痛と腫れが著明で5日間程度高熱が持続します。

その他、目の充血、結膜炎、頭痛、嘔吐、脱水症状などを引き起こします。

アデノウイルスという、咽頭結膜熱(プール熱)を引き起こすウイルスが病原体となります。

夏に特に多いですが、最近では年間を通しての発症も多く見られるようになってきました。

 

⑥ RSウイルス感染症

RSウイルスは、乳幼児呼吸器感染症の一つで、インフルエンザ同様、主として冬季に流行しますが、RSウイルスが流行し、追ってインフルエンザが流行を開始するパターンも見られます。

重症では、上気道炎、気管支炎、細気管支炎、肺炎を合併する場合があります。

一度の感染で終生免疫の獲得がなく、年齢と無関係に生涯にわたり感染を起こすのも特徴です。

成人では感染しても普通感冒や軽度の病態で経過することが多い一方、乳幼児ではしばしば重症の病態を示す点で重要なウイルスの一つです。

発熱のチェックポイント

診察の際に大変参考になるのが、体温のメモです。

1日の体温の変動から熱型や疑うべき感染症を絞り込むことが出来ます。

簡単なメモで結構ですので、測定した時間と体温、体温を記録していただくことをお勧めします。

 

また、発熱とあわせて、

その他の症状

食欲、水分の摂取状況

ご家庭やご両親の職場、託児所にお子さんを預けている方は、職場や託児所などで流行している感染症や病気がないか

を診察時に確認させていただくことがあります。

発熱以外でも気になる点は医師にお伝えください。

注意が必要な発熱(緊急性が高いもの)

嘔吐や頭痛を伴う発熱

けいれん様発作が見られる場合

食事や水分などを受け付けない場合

38℃以上の発熱が5日以上続く場合

は、早めに必ず医師の診察を受けるようにしましょう。

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